TNさんの家 現場レポート4
本当にコンスタントにブログをアップするのは難しい・・・。
どうしても後回しにしてしまいます。
・・・と、言い訳からはじまるTNさんの家、現場レポート4ですが、
レポート3でお伝えした基礎の沈下に対する、TNさんの家での対処をご紹介します。
前回、
「各土台の上の面の高さを測り、建物の沈み具合を明確にしていく」
と書きました。
(土台が腐食している場合などは基礎の立ち上がりの上から測った方が、正確な数値がとれますよ)
計測の結果、改修前の実測で出た数値と同程度の沈下が認められました。
その結果をもとに
元々計画していた手法と、工務店・大工さんとの打ち合わせによって現場決定した手法、
大きく3つの手法でこの問題に対応していきました。
①既存の柱や壁、天井を残す2間続きの和室ゾーンは、
沈下している分、土台ごと持ち上げました。
上の写真のようにカタ木で高さを調整し、その後、既存基礎と土台間に無収縮モルタルを充填しています。
この際、既存アンカーボルトに加えて、必要に応じてケミカルアンカーという後施工が可能なアンカーボルトを施工します。
②和室ゾーン以外の既存のゾーンは、土台はそのままで、
根太の高さで床を調整します。
③TNさんの家、最大の変化で、計画の抜本的な見直しはここ!
2階建てから平屋建に戻します。
「戻す???」
実はTNさんの家、新築時は平屋だったものを、増築で2階建にしていたのです。
平屋にすることにより、基礎へかかる負担を減少させ、これ以上の沈下を防ぎます。
※プランニング・デザイン的なことは、今回は書きません。
さてここで①と②の使い分けの理由ですが、
ピンときますか???
ヒント
①は真壁で既存化粧材料を多く残すゾーン、②は大壁で造作を新しくやり替えるゾーン
さあ、どうですか?
理由は、①は既存の柱や鴨居を使うため、沈下したままだと、
・床と柱が垂直にならない
・床と鴨居が水平にならない
などの問題が生じます。
それに対し、②は大壁で造作(建具枠など)をやり替えるため、
柱は見えなくなり、床と造作で水平や垂直を出せば良いのです。
※もちろん、あまりに傾いているのは好ましくありませんが。
以上3つの手法で、沈下の問題にはアプローチし、次の工程へ現場は進みます。
ちなみに、この手法は「TNさんの家だったから(この状態だったから)」
選択した方法です。
他の物件では、同じ手法が正解ではありません。
構造補強に関する手法は、改修前の対象物件の状態だけでなく、
改修後にお施主さんが望む暮らし、つまりプランニングなども踏まえて
総合的に判断していくことが必要です。
※今回は専門用語を使用した箇所も多く、読みにくい内容になってしまいました。
一般の方にも分かりやすい表現を使いたかったんですが、あまりに長くなりそうだったので。
スタッフS.O