閑谷学校石橋
津田永忠・小堀遠州(石橋対決:小堀遠州の投稿は3月29日)、稀代の作庭家の知られざる小さな仕事を紹介します。
「閑谷学校石橋」
閑谷学校を訪れてまず目を引くのは、かまぼこ型の石塀と備前焼の美しい大屋根です。水平に延びる石塀と、大屋根の対比は見事でいつ来ても心がおどる。
今日紹介する橋は駐車場からのアプローチの途中にあり、気に留める人はいない。
この橋は一見単純で、歩くところの石をあえてラフな仕上としているため、どこにでもある石橋のようで、そのすごさに気付かない。永忠はあえてこのようにつくったとさえ思える。
よく見ると親桁は一本の石でつくられ、わずかなむくりは日本刀の反りを連想させ、緊張感と美を生んでいる。親桁を支える石の橋脚も精緻な仕事で、ほんのわずかにテーパーをつけて積まれている。この石橋を見ただけで作者がただ者でないことがわかる。
親桁と基礎石の組み合わせのディテールは、もっとも僕の感性を刺激する。全体のプロポーションは完璧で見るたびにすごいと思わせる。
石の文化を持つヨーロッパの人にはつくれない日本人の美意識が表出している。
神家昭雄