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武庫川女子大学建築学科 -古い時間と新しい時間を繋ぐ竹林のトンネル-
武庫川女子大学建築学科の上甲子園キャンパスは、一万坪の敷地に
回遊式庭園を挟んで、旧甲子園ホテルの雰囲気を残した
甲子園会館と呼ばれている校舎と、新しく造られた建築スタジオがあります。
日本庭園には茶室や池もあり、よく管理されていて名園の風格があります。
いつも通って感心するのは、2つの建物を陰影の美しい竹林の
プロムナードで繋いでいることです。歴史的な場所と今日的な場所の
切り替えを竹林のプロムナードで繋ぐ構想力はすごいと思います。
学生たちは、午前中フランク・ロイド・ライトの思想を身体で会得できる
甲子園会館で講義を受け、午後からはトップライトから光が降り注ぐ
プレキャストコンクリートによる最新の技術で設計された明るいスタジオで、
設計演習に取り組んでいます。
緑豊かな敷地にヒストリカルな建築とコンテンポラリーな建築が対峙する風景は、
学生たちに建築の力を静かに語りかけています。









担当している2年生の作品(クラブハウス)神家昭雄
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石と緑
竣工して1年がたったころでしょうか、
Iさんから
「庭をつくりたい」との相談を受けました。こんな木をここに、
あんな木はあそこに・・・新築の配置計画のときから
将来つくるであろう庭に思いをはせていたIさんと私たち。
それが現実のものになるとあって
心躍る打合せを重ねていると、次に相談にきたIさんは
満面の笑顔で
「良い石に巡り合った、この石を使いたい」
そう言って写真をみせてくれました。3M~4Mはあろうかという、大きな延べ石。
なんでも
ある建設会社が解体現場から出た石を大量に持っていて
「そんなに好きならあげらぁ~」
と譲ってもらったとのこと。ここからは
いつも作庭をお願いしている
造園 武(タケ)の武村さんにチームの中心になってもらい
プランを考えていきました。1.石を使うこと
2.緑を多く植えるのではなく、少ない本数を効果的に配すること
3.奥さまが育てた植物を庭に取り込むこと
4.Iさんのへそくりで予算をまかなうこと(笑)これらの諸条件に対し、どのような回答をだすか・・・。
その回答がこちら。(Iさん、お留守にお邪魔しちゃいました・・・。)







玄関前には石と石を繋ぎ合わせた、緑に架かる橋のような彫刻を、南の庭には島のように、舟のように延べ石を点在させ、
西の田んぼに面して石のベンチも設けてくれました。
私たちも
「建築」には全力を注ぎましたが、
「場」の魅力は「建築」のみにあらず・・・ですね。この作庭後は
「緑」「石」の存在で
「場」としての魅力が断然増していました。Iさんはこの季節、
きっとベンチに佇みながら、おいしいビールを飲んでいることと思います。今回の仕事は
私たち事務所だけでも
クライアントだけでも
造園家だけでも
なしえなかったものだと思います。それぞれのアイデアを昇華させ
実現させたクライアント、造園家、私たち・・・
「チームなんだな!」
と強く感じることができました。Iさん、次は何しましょう?!
スタッフS.O
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6月6日 山陽新聞夕刊

6月6日の山陽新聞夕刊に、
「進化続ける緑の建築 岡山の先駆作を訪ねて」として故石井修氏設計のジッタ岡山(1982年竣工)
安藤忠雄氏設計の岡山信用金庫 内山下スクエア(2013年竣工)とともにアトリエ ドゥ ノエルのマスカット温室の再生のことが紹介されています。
→アトリエ ドゥ ノエルの過去の投稿はこちら
緑化のパイオニア的な建築のジッタ岡山と
岡山での安藤忠雄氏の最新作、そのような建築と、私たちが手掛けた小さなマスカット温室の再生が同じ紙面に並んでいることはとても光栄なことです。
建築には規模の大小はありますが、その混在が「まち」「地域」です。
小さな建築にも、まちを歩く人の目が向かい、
小さな発見や驚き、感動がそこにある・・・そんな建築をつくっていけたらと思います。
神家昭雄建築研究室スタッフ一同



