小さな空間
ふたつの小さな部屋を見に出掛けた.
ひとつは鴨長明の暮らした方丈.
4帖半ほどの住まいで,住まいを変わるたびに解体して運んで住んだそうだ.まさにファブリケーションです.プロポーションが美しく,簡素な内部は背すじが伸びるような張りのある空間です.
「行く川のながれは絶えずして,しかも本の水にあらず.よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。・・・・・」
もうひとつは河井寛次郎邸の仕事場につづく廊下に張り出した,思索にふけったと思われる2帖の部屋・茶室のような小ささですが,茶室ほどに閉鎖的でなく庭に向かって適度に開放的で,そのバランスが実に心地良い.
そういえば昨年体験した韓国の民家も同じように小さく,人のスケールに合った小さな空間に魅力を感じる.
神家昭雄